著者のWebメディアからの転載記事です。
(著者:黒田悠介さんからの承諾はいただいております)
概要
わたしはディスカッションの仕事に契約期限をセットしていません。
だから、毎回ディスカッションが終わるたびに「継続しますか?」とクライアントに聞いています。相性が合わずに数回で終了するケースもありますが、長ければ一年半ほどおつきあいすることもあります。
つまりはリピーターですね。リピートしてくれるクライアントが増えれば、営業コストも減りますし、なにより相互理解のあるパートナーとの仕事はやりやすく、コラボレーションがスムーズになっていくものです。
(馴れ合いにならないようにする必要はありますが)
私の場合、リピート率は9割ほどです。他のフリーランスのかたと比べて低い方ではないと思います。これは能力というよりテクニックです。
コツがあるので、少しご紹介してみようと思います。大きく3つあります。
1.依頼内容よりも大きな全体像を把握する
2.新たな価値提供ポイントを見つける
3.依頼内容をしっかりとやりきる
1.依頼内容よりも大きな全体像を把握する
フリーランスに依頼するとき、クライアントは依頼内容を小ぶりなタスクとして定義していることが多いように思います。
フリーランス活用はどうしても「社外に切り出す」という発想が多いようで、切り出しやすいところを依頼するのです。
しかし、だからといって与えられたそのタスクを粛々とやるだけでは、リピートにつながらない。依頼内容よりも大きな全体像を把握することが必要です。
依頼内容が「サブタスク」であればより大きな「タスク」を把握する。依頼内容が「タスク」であればよりも大きな「プロジェクト」を把握する。
できれば、さらに大きな「事業」「企業経営」「競合」「市場」といった全体像を把握していきましょう。
2.新たな価値提供ポイントを見つける
全体像を把握すれば、依頼内容以外にも価値提供できるポイントを見つけられる可能性があります。
例えばある記事のライティングを依頼されたのなら、きっと他の記事でも役に立てるはずです。また、もしかしたら別のフリーランスに依頼しようと思っていたライティングのジャンルが自分の得意分野だった、みたいなこともあり得ます。
さらに、ライティングだけでなく編集のスキルもあるのなら、クライアント側の人員不足を把握して編集の一部を引き受けるという受注も可能になるでしょう。
私の場合は、ディスカッションで事業の方向性を決めたあとに、エンジニアやデザイナー等の人材の確保についてもお手伝いすることが多いです。
言われたことをやる、というだけではなく、「これもできます」「こういうやり方もあります」と提案できるフリーランスになることで、機会を最大限活かすことができるのです。
3.依頼内容をしっかりとやりきる
当たり前なことですが、依頼内容はしっかりとやりきります。そして、できるならクライアントの期待を少し超えていきたいところ。
例えば、依頼内容にはない要点を付け加える、役立ちそうな情報を提供する、後工程に繋げやすいように配慮する(全体像を把握しているからこそできる)、といった具合です。
あまり大きく超えると自分を安売りすることになるので、いい塩梅で納めた方がいいでしょう。余力があるのなら過剰品質にするよりも早く終わらせて次の提案に進むほうがいい。
より多くの時間を使うよりも、より多くの価値を提供するほうが、リピートには効いてきますから。
そうすれば、こちらから継続の意志を確認しなくてもクライアントから「今後もお願いします」と言ってくれるようになるはずです。