お役だち記事

東大卒の頭がいい新入社員の君へ

著者のWebメディアからの転載記事です。
(著者:黒田悠介さんからの承諾はいただいております)

概要

10年前の私です。あれから色んなことがありました。

4月は多くの会社で新年度の始まり。いろんな人が新入社員向けに記事を書いているので、私は対象を絞って東大卒の新入社員に向けた言葉を贈ろうと思います。

受験競争の勝者としての東大生

日本に限って言えば、東大に入ることは受験競争での勝者といって差し支えないでしょう。でも、ただそれだけ。

受験の勝者は全科目でほぼ100点満点を取るのが得意な人です。つまり、90点の教科の残り10点をなんとか克服し、苦手を減らすことが得意なわけです。でも、その思考はすぐに捨てたほうが良い。

ビジネスと受験は全然違う

受験の勝者がビジネスの勝者になれるとは限りません。その理由を2つ挙げてみます。

まず、

ビジネスの場では能力に100点満点はありません。

120点や200点の人だっているわけです。それに、全教科でくまなく高得点を出す必要もありません。何かが30点だとしても、200点の飛び抜けた能力があれば良い。そして、受験は一人の能力を試されますが、

ビジネスはチームで取り組むチーム戦です。

仮に全員が90点の力がある秀才くんだらけの組織があったとして、その組織は120点級の問題に手も足もでません。しかし、あなたが特定の分野で200点を出せて、他のメンバーも別の分野で200点出せるなら、総力戦でかかれば120点級の問題は軽々クリアできるでしょう。「100点はない」「チームで取り組む」というビジネスの場で成果を出すには、受験競争に勝つための「一人で苦手を克服する思考」を捨て去らなければなりません。そして、色んな人が言っているとおり、この傾向は年々強まっていて、

得意を活かしたコラボレーション

というのは人と同士に限らず企業同士などあらゆるところで起きています。だから、

苦手を克服するよりも得意を伸ばす発想

を身につけて、自分の武器を磨いていってください。

東大卒というブランド

東大卒という学歴は「頭がいい」という印象を与えられるメリットはあります。一定以上の年齢層に対しては信頼感を与えることもできるでしょう。しかし、その頭の良さが

「答えのある問題を解くのが上手」

というレベルに留まってしまってはいけません。それこそ、受験の勝者止まりです。簡単なパズルは既に解かれてしまっています。1つの正解があるパズルではなく、無限の選択肢から納得できるカタチを生み出すレゴブロックに取り組むような姿勢が求められているのです。

論理的な正しさは、パズルを解くのには有効です。でも、それを振りかざしてばかりいると「東大生っぽいよね」という言葉に、いつの間にかネガティブな響きが混ざっていることに気がつく日が来るでしょう(実体験)。

答えのない問いを考え続ける頭の良さ

これから皆さんがビジネス扱う課題の多くは、簡単に答えが出ません。答えが出ない状態を受け入れないといけない。もし簡単に答えが出るような仕事ばかりだとしたらすぐに辞めちゃいましょう。その仕事は代わりにAIやロボットがやってくれるようになります。

せっかく東大に入れる要領の良さがあるのだから、それを

「答えのない問いを考え続ける」

ことに頭を使って欲しいです。受験と違って考える時間はたっぷりあります。安易な答えに逃げずに、仲間と一緒にウンウン唸って考え続ける忍耐力を身に付ければ、受験の勝者はビジネスでも活躍できるはずだと信じています。

実体験からのアドバイス

最後に、私が新入社員のころに言われてショックだった言葉を贈ります。このころの私を反面教師にしてください。

黒田の言うことは正しいんだけど、面白くない。

きっと、自分の意志がなかったのでしょう。論理的に導ける結論なら「ワタシ」である必要がなくなってしまいます。それに、論理的に正しいことだけ言っていると、人を巻き込む求心力がない。東大卒の新入社員の皆さん、お気をつけて。

そして何より、答えを自分たちで作れる時代を楽しんでください。