著者のWebメディアからの転載記事です。
(著者:黒田悠介さんからの承諾はいただいております)
「シラけ」は自覚できない
人と人のあいだに距離が生まれることがあります。
直接のコミュニケーションが原因である場合もあるし、自然と関係性が薄くなる場合もあります。
これはどちらも自覚できます。「あの発言がよくなかったんだな…」「仕事変わったから仕方ないかな」とか。
でも、知らないうちに距離が生まれてしまうことがあります。これは自覚できないし、反省することもできない。その原因とは「シラける」ことです。
相手の言動に一貫性がないときに生まれる、思わず気持ちが一歩後ずさってしまうような感覚。
例えば、社外に発信しているビジョンと一貫性のない行動を社内でしている経営者をみたとき。社員はそれに対してシラけてしまう。「なんだ、口だけか」と幻滅する。このシラけは、経営者が自覚できないうちに起きています。さらに辛いのは、社員が「あなたに対してシラけました」とはわざわざフィードバックしないところです。「シラけ」は気が付かないうちに、社内に広まっているかもしれないのです。
この「自覚できない」というところが危うい。フィードバックをもらって自覚できれば学習したり修正したりできるのですが。
SNSで様々な情報がシェアされる時代には、この「シラけ」は要注意です。自分でも気が付かないうちに、一貫性のない言動がSNSを通じて誰かをシラけさせ、距離を生んでしまっているかもしれません。
プロフィールに表示されるフォロワー数が変わらなくても、心理的なフォロワー数は減っているかも。
このような「シラけ」は個人だけでなく、プロダクトやブランド、行政、国家などに対しても向けられ得るものでしょう。一貫性がない言動やその発信が、シラけのリスクを生みます。
「シラけ」対策としての一貫性
じゃあもう何もSNSで発信しないほうがいいのか、というと、そういうわけではありません。むしろ、一貫性のある発信が重要になってきたのだと思います。
一貫性のある言動やその発信によって、むしろ人を惹き付けることもできるでしょう。不自然になまでに取り繕う必要はありませんが、ブレない芯があることで人間(あるいは企業やブランドなど)として安心して付き合うことができ、良好な関係が築きやすくなると感じます。
ただ、時間が経てば人や組織は変わるものです。そういった時間経過による変化はアタリマエのことなので、シラける原因になる可能性は低そうです。