*こちらの記事は、過去4つの記事をみやすく1つにまとめて転載したものです。
(その1、その2、その3、その4)
著者のWebメディアからの転載記事です。
(著者:黒田悠介さんからの承諾はいただいております)
課題を大きくする
あなたが考えている課題をあえて大きくしてみましょう。そうすることで小さな課題よりも打ち手が幅広くなり、今までに無い発想で課題にアプローチできるようになります。また、課題を大きくすることでいつの間にか元々あった課題が些細なことに思えてくることすらあります。その場合は大きく捉えた課題の方を解決するアイデアを考えれば、より多くのことを達成できる解決策に至れるかもしれません。
例えば、家に帰ると部屋が寒いから、暖めておきたいと考えたとします。この小さな課題からでは「家の外から操作できるエアコン」という程度の発想が生まれるだけです。
しかし、もう少し課題を大きく捉えると、快適な温度を常に保つようなIoTの仕組みを発想することもできるでしょう。さらにこれを大きく捉えると、人間にとって快適な状況を自動的に作り出すIoTの仕組みというスマートハウスにも通じるアイデアに至ります。スマートハウスをさらに超えてスマートシティという発想や、プロアクティブIoT(人間の行動を事前に察知して適切にサポートするタイプのIoT)というアイデアを考えだすことができれば、これは立派な事業として成り立ちます。日本における高齢化や介護に関連する課題解決にも通じる社会的意義のあるアイデアでもあります。
これが「課題を大きくする」という発想法です。身近でちょっとした不便や不満から発想する際に威力を発揮します。
別の企業の経営者になったつもりで考える
Amazonだったらどう考えるか?Googleだったら?Facebookだったら?任天堂だったら?孫正義さんだったらどんなプレゼンをする?
こういったことを考えてみると、新しいアイデアが出てきます。もちろん、完全になりきる必要はありません。あくまで新しいモノの見方をするための発想法ですから、あなたの頭のなかにあるイメージでOKです。
また、この発想法の良いところは、「Amazonがあなたと同じ事業をやってきたらどうしますか?」という厳しい問いに対する考えを深めておける点です。もはやどの企業も競合となり得る環境下では、プラットフォーマーの存在を意識しないではいられません。自社の生存を真剣に考えるなら、考えておいて損はない問いでしょう。
そして、考えた結果「Amazonはこの事業には参入しない」「Amazonが参入してきても大丈夫」という確証が得られるようであれば、安心して事業アイデアをブラッシュアップすることができます。そうでなければ、ピボットも検討した方がいいかもしれませんね(あるいはM&Aでのバイアウトを狙う、とか)。
反対を考えてみる
一般的な方法とは逆にしてみると、良いアイデアが浮かぶことがあります。商品を届けないEC、企業を紹介しない転職エージェント、無料で手に入る自動車、通信できないスマートフォン。あまりに突飛に見えるかもしれませんが、そこにこそ事業アイデアが眠っているのです。
反対を考える対象は、「当然だと思っていること」であるほどよいです。ECでは早く商品が届くほど良いとされていますが、この当然を疑ってみるのです。私は今、ECサイトで購入した数ヶ月先に届くチーズを楽しみにしています。そのサービスではチーズの生産者から定期的にメッセージが届き、出来上がるまでの過程を楽しむことができます。このように、いかに早く届けるか、という消耗戦をあえて離れて「届くまでにどれだけ楽しめるか」というポイントに着目したスローなECだってあり得るのです。
課題を回避する
あなたが課題だと思っていることが本当に課題なのか、考えてみましょう。その課題を解決するのに必要な多大な労力を回避して、別の何かをなすべきだという可能性はないでしょうか。
例えば、ある村で電気が通っていないために保育器が使えず、新生児の死亡率が高い状態だとします。これを解決するために、村に電気を通すというインフラ事業を素直に考えるのもよいでしょう。しかし、これには別の解決方法もあります。電気がないという課題を回避するのです。お湯と保温ジェルを使った電気を使わない保育器というアイデアはどうでしょうか。あるいは、未熟児状態で生まれる子どもを減らすために、妊婦に対して栄養補助食品を提供するなどマタニティ向けの事業を考えることもできるでしょう。