お役だち記事

フリーランスのタダ働きをどう考える?

著者のWebメディアからの転載記事です。
(著者:黒田悠介さんからの承諾はいただいております)

概要

以前あるイベントで参加者のフリーランスに向けて、

タダ働きを許容するべきだ

という話をしたことがあります。

タダ働きをコストと捉えずに投資だと考えようというメッセージでした。報酬にはならないけど、タダ働きで助けた相手には「信頼」が貯まっていき、将来的にはその信頼をお金に変えることができるということです。

・お金で信頼を買うことはできない
・信頼はいつでもお金にできる
・信頼にはいろいろな利子がつく(将来的に仕事に繋がる/人を紹介してもらえる)
・だから、すぐにお金にせずに信頼を貯めておくことが長期的にはより良い戦略だ

ということです。これは私の実体験でもあります。一方で、タダ働きをすることは搾取につながるといった意見をもつフリーランスも多く、そこにギャップを感じました。

もしかしたら、タダ働きによる将来の案件獲得は全てのフリーランスに通用する戦略ではないのかもしれない。では、タダ働きが有効なフリーランスとそうでないフリーランスの間にはどのような境界があるのでしょうか?

コンサルティング系とクリエイティブ系の違い

単純化すれば、フリーランスはこの2つに大別できます。有形と無形と言ってもいい。タダ働きはコンサルティング系フリーランスにとっては有効ですが、クリエイティブ系フリーランスにとっては避けたほうがいいでしょう。その理由を説明します。

1.コンサルティング系フリーランスにとっての『タダ働き』

私はこちらに分類されますが、この手のフリーランスにとってもタダ働きとは「口頭での相談」を意味します。クリエイティブ系ではないので、何かを生み出すことはしません。

この「口頭での相談」であれば、時間も短く、コストとしては大きくありません。営業のヒアリングとしての意味合いもあるので、そのコストは必要経費と考える事もできます。

もちろんアイデアだけを持ち逃げされるケースもありますが、そういう相手とはそれ以降の連絡を取らないようにするだけです。実際に相手が信用できるかどうかは何かしら実践を通して知ることも多いので、実験だと思って受け入れるのがよいでしょう。

2.クリエイティブ系フリーランスにとっての『タダ働き』

デザイナーやエンジニア、ライターのように何かを生み出すフリーランスにとってはタダ働きは「実際に手を動かすこと」を意味します。

このタダ働きは時間もかかりますし、その時間をかけて生み出したものがタダで使われてしまうという精神的な負荷もかかります。こういったフリーランスにとってはタダ働きは割にあわないものになるので、できるだけ避けたほうがいいわけです。

このような事情があるので、クリエイティブ系フリーランスはポートフォリオを充実させたり人の紹介を利用したりすることで、報酬を前提としてクライアント候補と向き合うことになります。

改めてタダ働きの是非

フリーランスの原資は「自分の時間」です。その原資が豊富にある場合や、必要な原資が少ない場合には投資としてタダ働きを許容できます。逆に、原資が希少な場合や必要な原資が多い場合には投資が割にあわない可能性が高くなるので、タダ働きは回避した方がいいでしょう。

ということで、自分の仕事の特性に応じて『タダ働き』と向き合っていく必要がありますね。