お役だち記事

「この人とは5年後に一緒に仕事をするかもしれない」という妄想の効果

著者のWebメディアからの転載記事です。
(著者:黒田悠介さんからの承諾はいただいております)

概要

毎日のアポイントはyentaやbosyuでのマッチング、サイトからの問い合わせ、人からの紹介で埋まっていくのですが、どんな人に会うかは事前にあまり絞り込まないようにしています。

そのおかげで多種多様な方に会えています。そんな話をあるイベントのゲストとして話したあとに、参加者の一人からこんな質問を向けられたことがありました。

「会っても何にもならない人っていないんですか?」

そういうふうに考えたこともなかったなと思って興味深かったのを覚えています。

オンラインでもオフラインでも、だれかと会って話をすれば学びは必ずあります。「学び」といっても何かを教えてくれるというわけじゃなくて、こちらが学び取るモードになっているかどうか。実際、子どもが生まれた知人はまだ言葉を発さない子どもから毎日のように学んでいるといいます。

学び取るモードになっていれば、人に限らず、動物からも、自然からも、社会からも、現象からも、学び取れるでしょう。

また、将来どんな偶然でその人と一緒に仕事をしたり同じプロジェクトに関わるようになるかは、全くわかりません。だから、現時点で接点が見出せない人とも「5年後にはなにか一緒にやる日が来るだろう」と妄想しておくことにしています。

5年という長めの期間にしているのは、関係性が長期化すると想定したほうが、相手に対して親切になれたりするからです(逆に関係性が短期的な相手に対しては取引的・搾取的な行動を取りやすくなるのが社会心理学の研究で指摘されています)。

そうして5年後を妄想していると、こちらも自然と相手に興味を持ち、尊重する気持ちになりやすいものです。すると面白いことが起きます。意外と1年後くらいに同じ仕事やプロジェクトに関わることになったりするのです。

5年後を妄想することで相手と良好な関係を築けるようになり、結果的にそれが1年で実現してしまう。

社会学の言葉を借りれば、これは「自己成就的予言」とも言えます。

・・・

こんなことがよくあるので、冒頭の「会っても何にもならない人っていないんですか?」という質問には「いないですね!あなたからもその質問で面白い観点をもらえたので、会えてよかったです」と答えました。

そういえば、あの質問者ともいつか一緒に仕事をする日が来るかもしれませんね。もちろん、これを読んでいるあなたとも。