お役だち記事

「正の連鎖」でモノゴトはスムーズに前進する

著者のWebメディアからの転載記事です。
(著者:黒田悠介さんからの承諾はいただいております)

かけた時間以上の成果を手にするために

最近ではすっかり複業やポートフォリオワーカーといった言葉が定着してきました。

それだけいろいろなモノゴトに関わる人が増えているのだと思いますし、わたしの身の回りでもそういった人は実際に増えています。

働き方や生き方の多様化ですから、これはステキな状況だと思います。

ただし、いろんなモノゴトに時間を使っても、それらのあいだに関連がなければ「かけた時間以上の成果」は得られません。

逆に、Aに時間をつかった結果がBにも好影響をあたえて、さらにそれがAにも好影響を与える、というような「正の連鎖」があれば、自分の使った時間以上の成果が得られることがあります。

それはやまびこが反響して繰り返し鳴り響くのと似ています。「正の連鎖」はA→B→A→B→…と好影響を相互に与え続けます。

システム思考ではこれを自己強化型ループと呼んだりします。ここでは詳細は省きますので、興味ある方はしらべてみてください。

「正の連鎖」の例

身近な喩えをしてみます。机のうえが整理できる人の「正の連鎖」は以下のように表現できそう。

A. 机のうえを整理する
B. 探しものがすぐに見つかる
C. 時間に余裕ができる

A→B→C→A→B→C→… という具合で連鎖しますね。

逆もまたしかりで、この関連性は「負の連鎖」にも転じ、机のうえが整理できない人の説明もできます。

A. 机のうえを整理しない
B. 探しものがすぐに見つからない
C. 時間に余裕がない

さきほどと同じく、A→B→C→A→B→C→… という具合で連鎖します。

モノゴトはこんなにシンプルではないですが、こうしたループを見つけることで、そのループを強めたり弱めたりするアクションを考えやすくなります。

具体例:単一での正の連鎖

「正の連鎖」はさまざまなところで見られます。もう少し具体的な事例もご紹介します。

例えば、わたしはFreelanceNowというコミュニティの発起人なのですが、このコミュニティは3800人のフリーランスが所属し、年間数百件の企業案件が依頼されています。

数字が大きければいいわけではないですが、ここまでの規模になった理由が「正の連鎖」で説明できそうなので、取り上げてみます。

フリーランスが集まると、そこに案件を投稿したい企業が増えていきます。その結果、フリーランスのあいだでポジティブなクチコミが生まれて、それを聞いたフリーランスが集まってくれる。そんな「正の連鎖」です。

A. フリーランスが集まる
B. 企業が案件を投稿する
C. フリーランスのあいだにクチコミが生じる

A→B→C→A→B→C→…という具合で連鎖した結果、FreelanceNowはこれまで自然に成長してきました。「正の連鎖」があれば大きな手間をかけなくてもモノゴトが動いていくことを実感した事例です。

具体例:複数での正の連鎖

さきほどはFreelanceNowという単体のプロジェクトのなかでの「正の連鎖」を確認してみました。こんどは、複数のプロジェクトを横断して「正の連鎖」が起きた事例をご紹介します。

問いでつながる議論メシというコミュニティをやっているのですが、それとは別に個人としてコミュニティデザインの仕事を企業から依頼されることが増えてきました。

この2つのプロジェクトにも「正の連鎖」があります。

A. 議論メシが盛り上がる
B. 黒田が取材を受けて記事になることが増える
C. 取材記事を読んだ人からコミュニティデザインの依頼が来る
D. 黒田のコミュニティについての経験が増える

A→B→C→D→A→B→C→D→…という感じで、議論メシとコミュニティデザインの仕事が相互に関連していて、そこに「正の連鎖」があることがわかります。

議論メシが盛り上がることで取材を受けて記事になることが増えていきます。その記事を読んだ人からコミュニティデザインの仕事を依頼されて経験を増やすほどに、議論メシを盛り上げるアイデアが湧いてきます。

このように、議論メシを盛り上げることと、コミュニティデザインの仕事に相乗効果があります。「正の連鎖」があれば、どちらに時間を使っていてももう一方の活動にプラスになるので、全体としてはかけた時間以上の成果が得られます。

まとめ

もし複業などでいろいろなプロジェクトに関わっているなら、それらのプロジェクトに「正の連鎖」がないか考えてみるのがオススメです。

もし「正の連鎖」がなければ、それをプロジェクト内かプロジェクト間に埋め込む可能性を考えることができます。

もし「正の連鎖」がすでにある場合も、その連鎖をなめらかにするためにA,B,Cといった要素のうちどれを強化すべきか、あるいは別の要素を追加すべきか、といったことを考えることができます。

とくに時間が足りない!自分がもうひとりほしい!と思っているときにオススメの思考です。