著者のWebメディアからの転載記事です。
(著者:黒田悠介さんからの承諾はいただいております)
概要
認知特性という言葉をご存知でしょうか?
ひとことで言えば、
外界からの情報を頭の中で理解したり、整理したり、記憶したり、表現したりする方法
といった感じです。認知特性によって人間は大きく3つのタイプに分類できるそうです。
・視覚優位者(写真的、動画的に情報を捉えて思考する)
・言語優位者(文字や文章を映像化、図式化して思考する)
・聴覚優位者(文字や文章を音として情報処理し思考する)
もちろん、1つの認知特性が突出しているタイプもいれば、全ての傾向を併せ持っているタイプもいます。
(認知特性の診断には色々な方法があるので、色々と探してみてください。)
ちなみに私はこんな感じ。
・視覚優位者:×
・言語優位者:◎
・聴覚優位者:△
この結果には個人的にも納得感があります。
視覚優位の傾向が弱いため、書く文字の見た目が汚いし、空間認知能力が低い。
聴力優位の傾向が弱いため、電話でのコミュニケーションが苦手で、分離聴がうまくできない。
一方で、言語優位者の傾向が突出しているため、抽象概念の扱いに優れていますし、文章を書くことが得意です。
言語優位者であることに加えて、わたしの特性としてワーキングメモリー(短期記憶)のサイズが小さいというのがあります。このことについては以前ブログでも以下のように書きました。
記憶力が極端に低いので、日常のほとんど何も覚えていません。すべてはGoogleカレンダーとAsanaとEvernoteに集約して必要なときに通知が来るようになっているため、記憶していなくても問題が起きないようにしています。また、人に会う前にはその人に関するevernoteのメモやFacebookメッセンジャーのやり取りを見て予習しています。特に固有名詞が弱いみたいです。人の名前や企業名、事業名は覚えられません。ビジネスモデルのように抽象度の高いものやパターンは覚えているのですが。受験勉強においてもあらゆることを演繹的に導かないといけなかったので、それができない歴史や地理には苦労しました。数学は公式を覚えなくてもその場で1から証明すればいいので得意でした。英語はラテン語まで遡って構造的に覚えることでなんとかやっていました。このように脳のストックする力は弱い私ですが、インプットを受けてからのプロセシングの力はあるので、それが活きるディスカッションという場を生業にしています。脳を情報の倉庫としてではなく、情報処理の工場として使っている感じです。
特性に合った働き方
言語優位者でワーキングメモリーが少ない。このような特性をもった私が仕事において、例えばディスカッションや打ち合わせをするには工夫が必要です。
聴覚優位であれば耳で聞いた情報をそのまま処理することができますが、言語優位者にはそういったことは難しい。聴覚のインプットである声を言語に落とし込んでからでないと処理できません。また、私は言語優位者のなかでも「言語映像タイプ」と呼ばれるもので、言語を映像化して思考するものだから、なおさら思考のステップが多く、遅くなりがちです。聴覚で認識した言葉の音を脳内で言語化し、それを更に映像化して思考し、相手に伝えるためにまた言語に戻すという圧倒的非効率。
さらにワーキングメモリーが少ないことが、ディスカッションの難しさに拍車をかけます。
このような私の特性は、普通に考えれば、ディスカッションに向いていない。でも、それを好きだから生業にしているのです。
自分の認知特性を理解し、できないことをうまく工夫によってカバーしています。
その工夫は具体的には、「言語化・見える化」です。
持ち運べるホワイトボードを使って、ディスカッションのキーワードや論理構造をメモしていくのです。たいした工夫ではありませんが、これが私にとっては効果てきめんです。言語優位者なので、言語を使ったメモは思考に直結します。さらに、ワーキングメモリーが少なくてもこのやり方なら議論の方向性を見失うことはありません。
このように、認知特性を理解し弱点を克服しつつ、本来の言語優位者の強みである論理的・抽象的思考能力を最大限活かすことができています。
実際に使っているツールはこちら↓
今回は認知特性と働き方について考えてみました。自分にあった生業や働き方をみつけるための1つの材料として、自分の認知特性は知っておいて損はないと思います。皆さんも是非、チェックしてみてください。