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フリーランスは幸福か ~幸福の4つの因子~

著者のWebメディアからの転載記事です。
(著者:黒田悠介さんからの承諾はいただいております)

「幸福の4つの因子」

「つながりと感謝」

私が何のために仕事をしているのか、といえば幸せになるためです。

利己的でしょうか?それが案外そうでもないと思っていて、きっと自分が幸せになることと周囲の人が幸せになることは両立する。総量が決まっていて取り合うようなゼロサムゲームではないと思うのです。また、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal)」の発表によれば、幸福は周囲の人に伝播します。

私が幸せになれば、周囲の人の幸福度も上がるというわけです。なんとなく分かりますよね。隣で誰かが幸せそうにしていたら、こっちも幸せな気持ちになります。逆もまた然り。自分の幸せが他人の幸せにも繋がる。これで少しは利己的な響きが薄れたかもしれません。

もう少し幸せと利他性について考えてみます。幸福の4つの因子慶應義塾大学の教授である前野隆司さんによれば、幸福には4つの因子があるといいます。詳細は後述しますが、その因子の1つに

「つながりと感謝」

があります。利他的な行動や他者への感謝によって、幸福度が上がるということです。幸福の因子には利他性が含まれているわけですね。幸福になりたいという一見すると利己的な目標を実現するには、利他的な行動や意識が欠かせないということになります。自分の幸せのためには他者の幸せに貢献する必要がある、というのは理想的な世界だと思います。

さて、せっかくなので「幸福の4つの因子」の残り3つについても見てみましょう。全体を把握するためにあらためて4つを挙げます。

 

・「自己実現と成長」の因子。夢や目標ややりがいをもち、それらを実現しようと成長していくことが幸せをもたらします。
・「つながりと感謝」の因子。人を喜ばせること、愛情に満ちた関係、親切な行為などが幸せを呼びます。
・「前向きと楽観」の因子。自己肯定感が高く、いつも楽しく笑顔でいられることは、やはり幸せなのです。
・「独立とマイペース」の因子。他人と比較せずに自分らしくやっていける人は、そうでない人よりも幸福です。

この4つが「幸福の4つの因子」です。いかがでしょうか。皆さんの職場や街、コミュニティではこれらが実現されているでしょうか?4つの因子がバランスよく実現できていると幸福度が高い傾向にあるそうです。

では、フリーランスは幸福か?というのがフリーランス研究家としては気になるところです。

ちなみに、フリーランスの幸福度については一年前にWarisさんが調査結果を公開していたりします。

また、最近になってフリーランス協会がフリーランスの意識調査をしています。

どちらもフリーランスのほうが幸福度や満足度が高いという結果になっています。ただ、それはあくまで全体の傾向であって、フリーランス全員が仕事に満足していたり幸福であったりするわけではありません。どんな働き方をしていてもそうでしょうけれど、幸せになるための工夫が必要です。

そしてそれは、継続的な取り組みになります。先の4つの因子に沿って、どんな工夫をするとよいか、整理してみます。

先の4つの因子に沿って、どんな工夫をするとよいか

1.「自己実現と成長」の因子とフリーランス

フリーランスとしての活動は「手元のお金」や「来月の仕事」のような短期的なところに視点を下げてしまいやすいものです。しかし、それでは「自己実現と成長」の因子は満たされません。自分の活動を長期的に考えるために、自分自身のビジョンを考えたり、成長のために難易度の高そうな仕事にもチャレンジする、という姿勢が必要になってきます。自分の成長を考えてくれる上司の不在は、フリーランスを長く続けるときに成長のボトルネックになります。自分自身を厳しく育てる視点を欠いたフリーランスは年齢を重ねるほどに案件を取りにくくなるので注意が必要です。幸福のためにも、自分の成長をモニタリングするべきでしょう。

2.「つながりと感謝」の因子とフリーランス

フリーランスは特定の組織に所属しないことから、深い人間関係を築く機会が少なくなりやすいものです。想いや悩みを共有できる人を見つけたら、大事にしましょう。また、年収が750万円程度までは年収と幸福度が相関しますが、それ以上の年収では幸福度への影響がなくなるという研究があります。儲けることは重要ですし、いたずらに単価を下げることはフリーランス相場の価格感を下げることになりフリーランス全体によくない影響を与えてしまうかもしれません。しかし、それでも、なんでもかんでも報酬を前提とするのではなく「貢献すること」「つながること」「感謝をすること」を念頭に置いた仕事もしてみるとよいのではないでしょうか。それが、金銭的報酬以外の様々な「報酬」につながるはずです。

3.「前向きと楽観」の因子とフリーランス

「なんとかなる」「なんとかする」という意識の持ち方が大切だと思います。なんでもいいので、チャレンジして「なんとかする」経験を積むことで、こういった意識を持てるはずです。先の1の因子のためにもチャレンジは大切ですし、2のつながりによって仲間がいれば「なんとかできる」という感覚も生まれてくると感じています。

4.「独立とマイペース」の因子とフリーランス

フリーランスになった人は、そもそもこの因子を獲得したと言ってもいいでしょう。そういう意味では、フリーランスはこの4の因子を重視しながら、いかにそれ以外の3つの因子を実現させるか、という視点が必要になってくるとも言えます。

幸福な働き方を目指して

どんな働き方にもメリットとデメリットがあります。幸福の4つの要素を考えてみると、あなたの働き方で実現させやすい因子と、実現に努力や工夫が必要な因子に分かれるはずです。では、あなたがいま足りていると思う因子はどれですか?また、その逆はどうでしょうか?幸せなフリーランスであるために、考え続けたいところです。